戦時体制への移行
第七一回議会以後、華北では、保定付近での中国中央軍との決戦を想定した兵力の集中が進められていたが、この間上海でも8月9日、大山勇夫中尉射殺事件が起こり、13日には日中両軍の衝突に発展した。こうした事態に対して近衛内閣は、14日夜の閣議で、従来の不拡大方針から、中国との全面対決に転換する態度を決定、15日未明には「暴支膺懲」の声明を発 した(戦争の経過については「第七二回帝国議会貴族院解説」参照)。そして翌々17日の閣議では、陸軍増派に必要な措置をとるため、9月3日頃、会期5日間の臨時議会を召集することが決められた。
必要な措置の第一は、言うまでもなく、軍事費の追加であり、陸軍14億2千余万円、海軍3億4千余万 円、予備費2億5千余万円、計20億2千余万円にのぼる巨額の経費が要求された。すでに前議会で9千6百余万円および4億1千余万円の軍事費追加予算が成立しており、軍事費は年度予算額(28億1千余万円) に近づくことになった。しかもいつ事変が解決するか見通しが立たないとあって、この議会には臨時軍事費特別会計法案も提出され、事変終局までを一会計年度 とする特別会計により運用されることとなった。
しかし、予算さえあれば必要な軍需品を調達しうるという訳ではなく、軍需産業自体の生産力が拡充されなければならなかった。そのためには資金・物資・労働力を軍需関連産業に集中することが必要となるが、軍需関係の原料・資材の多くを輸入にまたなければならないという状況のもとでは、輸入力のできるだけ多くの部分を軍需関係のために確保することが、必須の前提条件となる筈であった。それはいいかえれば、軍需に関係ない産業の発展をおさえること、輸入品に対する国民一般の消費を抑制することを意味した。そしてそのためには政府の経済統制権の強化が必要と考えられ、その面からも、臨時議会の召集が急がれたのであった。
「暴支膺懲」声明の発せられた8月15日は日曜日にもかかわらず、大蔵・商工両省では首脳会議が開かれたが、とくに大蔵省では「画期的なる非常時法規を臨時的に立案し今週中に閣議に付議決定の上臨時議会 に提案して協賛を求める事に方針を決した。而して右非常時立法はある程度において、一、輸入統制、一、 資金統制、一、事業統制、一、消費統制を内包し、それに関する緊急措置の権限を臨時的に主務大臣に委任する仕組のものでその主眼とするところは国際収支の適合と事変費の増嵩に伴ふ公債消化難の打破にあり」 (東朝、8・16)と報ぜられた。それは、経済統制に関する全権委任法案とみられた。
これに対して、商工省側は、全権委任的な単行法でいくよりも、部門別の管理法をつくるべきだとし、またその内容も一挙に高度な統制に移行するのは、国民及び産業界を萎縮せしめる惧れがあるとも主張したが、 ともかく、輸入品を原料とする産業の統制だけは実現させねばならないとの方針をとった。この間、資源局では国家総動員法案の立案を急いでいたが、とりあえず、第一次大戦を機に1918(大正7)年に制定されたままになっていた軍需工業動員法を発動させ、軍需工場を軍の管理のもとにおく道を開くこととした。 また逓信省は臨時船舶管理法案、農林省は臨時肥料配給統制法案を立案、各省庁が統制立法を競い合うといった有様となった。さらにそのほか文部省は国民精神総動員運動を企画し、農林省は農村における勤労奉仕班の組織を指示している。
こうしたなかで進められた経済統制法問題は結局、 大蔵省立案の臨時資金調整法案と商工省立案の輸出入品等に関する臨時措置に関する法律案を二本の柱とすることとなった。臨時資金調整法案は、設備資金の貸 付(一ロ10万円以上)、会社(資本金50万円以上)の設立・増資などを認可制のもとにおき、日銀に認可事務を行わせる、日本興業銀行に制限外興業債券の発行を5億円まで認める、日本勧業銀行に2億円まで貯蓄債券の発行を認める、などを内容とするものであった。 すなわち、そのねらいは、事業設備の新設・拡張を認める産業を限定し、ここに資金を集中しようとする点にあり、興業債券の増発はこの資金需要にこたえようとするものであった。また貯蓄債券の発行は、それによって得た資金を預金部に預け入れさせ、公債買入れなどに利用しようとするものであった。
これに対して輸出入品等臨時措置法は、政府に特定の物品の輸出入の制限又は禁止をなす権限とともに、 それらの物品を原料とする製品の製造・配給・消費などにつき必要な命令を出す権限をも与えようとするものであった。つまりそれは白紙委任的な貿易管理権と 輸入品を原料とする産業に関する統制権を政府に与えることを意味した。そしてそのねらいは、民需用原料の輸入を抑えて、軍需関係の輸入を確保することにおかれた。当時、政府が「輸入制限の主たる目標を棉花、 羊毛、木材に置くに至ったことは、例えば昨年度の輸入総額は棉花8億5千万円、羊毛2億円、木材5千6百万円で、木材は兎も角、棉花・羊毛はわが輸入品の大宗であるばかりでなく、他は全然輸入抑制の対象となり得ない軍需資材或は金額に於て殆ど取るに足らぬ不要・不急品に属するところから当然の措置である」 (東朝、9・7)と報ぜられた。しかし反面から言えば、 棉花・羊毛は、輸出産業としての紡績・織物業の原料であり、従ってその輸入の抑制は、輸出の減退を生み、 輸人力を弱めるという悪循環におちいる危険をはらむものであった。それ故、輸入制限に対応する消費抑制策として、一般民需用の棉・毛製品にはスフの混用を強制することが最初から考えられており、10月にな ると、実際にこの法律にもとづく命令として発動され ている。
政府はこうした法案の準備をすすめる一方、8月23日には、政・民両党との懇談会を開いて協力を要請、 政党側からは「強度の統制を強行したり、無用の統制呼ばはりをなして産業界を萎縮させたり財界を不安に導くやうな態度は絶対に避くべきである」(東朝、8・24)といった統制強化への危惧が表明されはしたものの、両党とも挙国一致の建前から政府を全面的に支援することを約し、政府が用意した議案がスムーズに成立することは確実とみられた。
第七二回議会の召集
第七二回議会は、8月24日公布の召集詔書により、 会期5日間の臨時会として9月3日召集され、翌4日開院式、9月8日予定通りの会期で閉会している。
この議会に於ける議長・副議長、全院・常任委員長、 国務大臣、政府委員、議員の党派別所属は次の通りであった。
議長 |
|
小山 松寿(民政・愛知) |
副議長 |
|
金光 庸夫(政友・大分) |
|
|
|
全院委員長 |
|
匹田 鋭吉(政友・岐阜) |
|
|
|
常任委員長 |
|
|
|
予算委員長 |
勝 正憲(民政・福岡) |
|
決算委員長 |
菊池 良一(民政・青森) |
|
請願委員長 |
菅野 善右衛門(政友・福島) |
|
懲罰委員長 |
岡本 実太郎(民政・愛知) |
|
建議委員長 |
田中 亮一(政友・佐賀) |
|
|
|
国務大臣 |
|
|
|
内閣総理大臣 |
近衛 文麿 |
|
外務大臣 |
広田 弘毅 |
|
内務大臣 |
馬場 ^一 |
|
大蔵大臣 |
賀屋 興宣 |
|
陸軍大臣 |
杉山 元 |
|
海軍大臣 |
米内 光政 |
|
司法大臣 |
塩野 季彦 |
|
文部大臣 |
安井 英二 |
|
農林大臣 |
有馬 頼寧 |
|
商工大臣 |
吉野 信次 |
|
逓信大臣 |
永井 柳太郎 |
|
鉄道大臣 |
中島 知久平 |
|
拓務大臣 |
大谷 尊由 |
|
|
|
政府委員(9・3発令) |
|
|
|
内閣書記官長 |
風見 章 |
|
法制局長官 |
滝 正雄 |
|
法制局参事官 |
樋貝 詮三 |
|
同 |
森山 鋭一 |
|
企画庁調査官 |
中村 敬之進 |
|
資源局長官 |
松井 春生 |
|
対満事務局事務官 |
竹内 徳治 |
|
情報委員会事務官 |
横溝 光暉 |
|
関東局事務官 |
大塚 喜一 |
|
外務政務次官 |
松本 忠雄 |
|
外務参与官 |
船田 中 |
|
外務省東亜局長 |
石射 猪太郎 |
|
外務省通商局長 |
松嶋 鹿夫 |
|
外務書記官 |
土田 豊 |
|
内務政務次官 |
勝田 永吉 |
|
内務参与官 |
木村 正義 |
|
内務省地方局長 |
坂 千秋 |
|
内務省警保局長 |
安倍 源基 |
|
内務書記官 |
熊谷 憲一 |
|
社会局長官 |
大村 清一 |
|
社会局部長 |
山崎 巌 |
|
大蔵政務次官 |
太田 正孝 |
|
大蔵参与官 |
中村 三之丞 |
|
大蔵省主計局長 |
谷口 恒二 |
|
大蔵省主税局長 |
大矢 半次郎 |
|
大蔵省理財局長 |
関原 忠三 |
|
大蔵省銀行局長 |
入間野 武雄 |
|
大蔵省為替局長 |
上山 英三 |
|
大蔵書記官 |
山田 鉄之助 |
|
同 |
氏家 武 |
|
預金部資金局長 |
広瀬 豊作 |
|
陸軍政務次官 |
加藤 久米四郎 |
|
陸軍参与官 |
比佐 昌平 |
|
陸軍中将 |
後宮 淳 |
|
陸軍主計少将 |
石川 半三郎 |
|
陸軍主計大佐 |
栗橋 保正 |
|
海軍政務次官 |
一宮 房治郎 |
|
海軍参与官 |
岸田 正記 |
|
海軍主計中将 |
村上 春一 |
|
海軍中将 |
豊田 副武 |
|
海軍主計大佐 |
山本 丑之助 |
|
司法政務次官 |
久山 知之 |
|
司法参与官 |
藤田 若水 |
|
司法書記官 |
斎藤 直一 |
|
文部政務次官 |
内ヶ崎 作三郎 |
|
文部参与官 |
池崎 忠孝 |
|
文部省専門学務局長 |
山川 健 |
|
文部省普通学務局長 |
藤野 恵 |
|
文部省社会教育局長 |
田中 重之 |
|
文部書記官 |
橋本 政実 |
|
農林政務次官 |
高橋 守平 |
|
農林参与官 |
助川 啓四郎 |
|
農林省農務局長 |
小浜 八弥 |
|
農林省米穀局長 |
荷見 安 |
|
農林書記官 |
周東 英雄 |
|
馬政局長官 |
村上 竜太郎 |
|
商工政務次官 |
木暮 武太夫 |
|
商工参与官 |
佐藤 謙之輔 |
|
商工省工務局長 |
小島 新一 |
|
商工書記官 |
波江野 繁 |
|
貿易局長官 |
寺尾 進 |
|
逓信政務次官 |
田島 勝太郎 |
|
逓信参与官 |
犬養 健 |
|
逓信省管船局長 |
小野 猛 |
|
逓信省経理局長 |
手島 栄 |
|
鉄道政務次官 |
田尻 生五 |
|
鉄道参与官 |
金井 正夫 |
|
鉄道省経理局長 |
池井 啓次 |
|
拓務政務次官 |
八角 三郎 |
|
拓務参与官 |
伊礼 肇 |
|
拓務省殖産局長 |
植場 鉄三 |
|
拓務書記官 |
副島 勝 |
|
朝鮮総督府財務局長 |
林 繁蔵 |
|
台湾総督府財務局長 |
嶺田 丘造 |
|
|
|
政府委員追加(会期中発令) |
|
|
|
司法省民事局長 |
大森 洪太 |
|
司法省刑事局長 |
松阪 広政 |
|
商工省統制局長 |
黒田 鴻五 |
|
|
|
党派別所属議員氏名 |
|
|
召集日各党派所属議員数 |
|
|
|
立憲民政党 |
180名 |
|
立憲政友会 |
175名 |
|
第一議員倶楽部 |
49名 |
|
社会大衆党 |
36名 |
|
第二控室 |
13名 |
|
東方会 |
11名 |
|
無所属 |
2名 |
|
計 |
466名 |
|
|
|
立憲民政党 |
|
|
|
東京 |
原 玉重 |
|
同 |
高橋 義次 |
|
同 |
中島 弥団次 |
|
同 |
駒井 重次 |
|
同 |
長野 高一 |
|
同 |
頼母木 桂吉 |
|
同 |
真鍋 儀十 |
|
同 |
斯波 貞吉 |
|
同 |
山田 清 |
|
同 |
中村 梅吉 |
|
同 |
八並 武治 |
|
京都 |
中村 三之丞 |
|
同 |
福田 関次郎 |
|
同 |
西村 金三郎 |
|
同 |
川崎 末五郎 |
|
同 |
池本 甚四郎 |
|
同 |
津原 武 |
|
同 |
村上 国吉 |
|
大阪 |
一松 定吉 |
|
同 |
柴安 新九郎 |
|
同 |
内藤 正剛 |
|
同 |
中山 福蔵 |
|
同 |
本田 弥市郎 |
|
同 |
勝田 永吉 |
|
同 |
田中 万逸 |
|
同 |
松田 竹千代 |
|
神奈川 |
飯田 助夫 |
|
同 |
小泉 又次郎 |
|
同 |
平川 松太郎 |
|
同 |
岡崎 久次郎 |
|
兵庫 |
野田 文一郎 |
|
同 |
浜野 徹太郎 |
|
同 |
前田 房之助 |
|
同 |
小林 房之助 |
|
同 |
田中 武雄 |
|
同 |
小畑 虎之助 |
|
同 |
斎藤 隆夫 |
|
長崎 |
中村 不二男 |
|
同 |
牧山 耕蔵 |
|
同 |
川副 隆 |
|
新潟 |
北 ヤ吉 |
|
同 |
松井 郡治 |
|
同 |
佐藤 与一 |
|
同 |
小柳 牧衛 |
|
同 |
今成 留之助 |
|
同 |
佐藤 謙之輔 |
|
同 |
増田 義一 |
|
同 |
川合 直次 |
|
埼玉 |
松永 東 |
|
同 |
高橋 守平 |
|
同 |
古島 義英 |
|
群馬 |
飯塚 春太郎 |
|
同 |
清水 留三郎 |
|
同 |
最上 政三 |
|
同 |
木桧 三四郎 |
|
千葉 |
多田 満長 |
|
同 |
篠原 陸朗 |
|
同 |
成島 勇 |
|
同 |
宇賀 四郎 |
|
同 |
土屋 清三郎 |
|
同 |
池田 清秋 |
|
茨城 |
中崎 俊秀 |
|
同 |
豊田 豊吉 |
|
同 |
中井川 浩 |
|
栃木 |
高田 耘平 |
|
同 |
岡田 喜久治 |
|
同 |
森下 国雄 |
|
同 |
木村 浅七 |
|
奈良 |
松尾 四郎 |
|
同 |
八木 逸郎 |
|
三重 |
松田 正一 |
|
同 |
片岡 恒一 |
|
同 |
川崎 克 |
|
同 |
長井 源 |
|
愛知 |
塚本 三 |
|
同 |
小山 松寿 |
|
同 |
服部 崎市 |
|
同 |
加藤 鯛一 |
|
同 |
渡辺 玉三郎 |
|
同 |
大野 一造 |
|
同 |
岡本 実太郎 |
|
静岡 |
山田 順策 |
|
同 |
平野 光雄 |
|
同 |
高木 粂太郎 |
|
同 |
津倉 亀作 |
|
同 |
坂下 仙一郎 |
|
山梨 |
堀内 良平 |
|
滋賀 |
堤 康次郎 |
|
同 |
青木 亮貫 |
|
岐阜 |
清 寛 |
|
同 |
伊藤 東一郎 |
|
同 |
古屋 慶隆 |
|
長野 |
松本 忠雄 |
|
同 |
田中 邦治 |
|
同 |
小山 邦太郎 |
|
同 |
宮沢 胤勇 |
|
同 |
北原 阿智之助 |
|
同 |
百瀬 渡 |
|
宮城 |
内ヶ崎 作三郎 |
|
同 |
村松 久義 |
|
同 |
小山 倉之助 |
|
福島 |
粟山 博 |
|
同 |
釘本 衛雄 |
|
同 |
仲西 三良 |
|
同 |
林 平馬 |
|
同 |
比佐 昌平 |
|
同 |
山田 六郎 |
|
岩手 |
高橋 寿太郎 |
|
同 |
鶴見 祐輔 |
|
青森 |
工藤 鉄男 |
|
同 |
森田 重次郎 |
|
同 |
菊池 良一 |
|
山形 |
伊藤 五郎 |
|
同 |
清水 徳太郎 |
|
秋田 |
町田 忠治 |
|
同 |
信太 儀右衛門 |
|
同 |
中川 重春 |
|
同 |
土田 荘助 |
|
福井 |
添田 敬一郎 |
|
同 |
斎藤 直橘 |
|
石川 |
永井 柳太郎 |
|
同 |
桜井 兵五郎 |
|
同 |
喜多 壮一郎 |
|
富山 |
寺島 権蔵 |
|
同 |
野村 嘉六 |
|
同 |
卯尾田 毅太郎 |
|
同 |
松村 謙三 |
|
鳥取 |
山枡 儀重 |
|
同 |
三好 栄次郎 |
|
島根 |
桜内 幸雄 |
|
同 |
原 夫次郎 |
|
同 |
俵 孫一 |
|
岡山 |
小川 郷太郎 |
|
同 |
西村 丹治郎 |
|
広島 |
吉田 喜三太 |
|
同 |
藤田 若水 |
|
同 |
木原 七郎 |
|
同 |
山道 襄一 |
|
同 |
土屋 寛 |
|
同 |
作田 高太郎 |
|
山口 |
福田 悌夫 |
|
和歌山 |
西田 郁平 |
|
同 |
小山 谷蔵 |
|
徳島 |
田村 秀吉 |
|
同 |
真鍋 勝 |
|
香川 |
矢野 庄太郎 |
|
愛媛 |
武知 勇記 |
|
同 |
松田 喜三郎 |
|
同 |
小野 寅吉 |
|
同 |
村瀬 武男 |
|
同 |
村上 紋四郎 |
|
高知 |
富田 幸次郎 |
|
同 |
長野 長広 |
|
福岡 |
田島 勝太郎 |
|
同 |
松尾 三蔵 |
|
同 |
岡田 竜一 |
|
同 |
勝 正憲 |
|
同 |
末松 偕一郎 |
|
大分 |
一宮 房治郎 |
|
同 |
長野 綱良 |
|
同 |
重松 重治 |
|
佐賀 |
池田 秀雄 |
|
同 |
中野 邦一 |
|
同 |
愛野 時一郎 |
|
熊本 |
大麻 唯男 |
|
宮崎 |
鈴木 憲太郎 |
|
鹿児島 |
小泉 純也 |
|
同 |
小林 三郎 |
|
沖縄 |
漢那 憲和 |
|
同 |
仲井間 宗一 |
|
北海道 |
山本 厚三 |
|
同 |
沢田 利吉 |
|
同 |
一柳 仲次郎 |
|
同 |
坂東 幸太郎 |
|
同 |
松浦 周太郎 |
|
同 |
大島 寅吉 |
|
同 |
手代木 隆吉 |
|
同 |
岡田 春夫 |
|
同 |
遠山 房吉 |
|
同 |
南雲 正朔 |
|
|
|
立憲政友会 |
|
|
|
東京 |
本田 義成 |
|
同 |
鳩山 一郎 |
|
同 |
安藤 正純 |
|
同 |
滝沢 七郎 |
|
同 |
牧野 賎男 |
|
同 |
前田 米蔵 |
|
同 |
田中 源 |
|
同 |
津雲 国利 |
|
京都 |
江羅 直三郎 |
|
同 |
田中 好 |
|
同 |
芦田 均 |
|
大阪 |
板野 友造 |
|
同 |
山本 芳治 |
|
同 |
上田 孝吉 |
|
同 |
曽和 義弐 |
|
同 |
南 鼎三 |
|
神奈川 |
野方 次郎 |
|
同 |
小串 清一 |
|
同 |
野口 喜一 |
|
同 |
河野 一郎 |
|
同 |
鈴木 英雄 |
|
兵庫 |
中井 一夫 |
|
同 |
立川 平 |
|
同 |
小林 絹治 |
|
同 |
田中 源三郎 |
|
同 |
原 惣兵衛 |
|
同 |
若宮 貞夫 |
|
同 |
山川 頼三郎 |
|
長崎 |
西岡 竹次郎 |
|
同 |
倉成 庄八郎 |
|
同 |
太田 理一 |
|
同 |
佐保 畢雄 |
|
新潟 |
山本 悌二郎 |
|
同 |
松木 弘 |
|
同 |
加藤 知正 |
|
同 |
武田 徳三郎 |
|
埼玉 |
宮崎 一 |
|
同 |
高橋 泰雄 |
|
同 |
横川 重次 |
|
同 |
石坂 養平 |
|
同 |
出井 兵吉 |
|
群馬 |
中島 知久平 |
|
同 |
篠原 義政 |
|
同 |
木暮 武太夫 |
|
千葉 |
川島 正次郎 |
|
同 |
今井 健彦 |
|
同 |
吉植 庄亮 |
|
同 |
岩瀬 亮 |
|
同 |
小高 長三郎 |
|
茨城 |
葉梨 新五郎 |
|
同 |
川崎 巳之太郎 |
|
同 |
大内 竹之助 |
|
同 |
佐藤 洋之助 |
|
栃木 |
船田 中 |
|
同 |
江原 三郎 |
|
同 |
坪山 徳弥 |
|
同 |
松村 光三 |
|
同 |
小平 重吉 |
|
奈良 |
福井 甚三 |
|
同 |
森 栄蔵 |
|
三重 |
加藤 久米四郎 |
|
同 |
馬岡 次郎 |
|
同 |
浜地 文平 |
|
同 |
浜田 国松 |
|
愛知 |
樋口 善右衛門 |
|
同 |
丹下 茂十郎 |
|
同 |
小笠原 三九郎 |
|
同 |
大口 喜六 |
|
静岡 |
深沢 豊太郎 |
|
同 |
山口 忠五郎 |
|
同 |
宮本 雄一郎 |
|
同 |
塩川 正蔵 |
|
同 |
太田 正孝 |
|
同 |
倉元 要一 |
|
山梨 |
田辺 七六 |
|
滋賀 |
森 幸太郎 |
|
同 |
服部 岩吉 |
|
岐阜 |
匹田 鋭吉 |
|
同 |
大野 伴睦 |
|
同 |
木村 作次郎 |
|
同 |
牧野 良三 |
|
長野 |
丸山 弁三郎 |
|
同 |
羽田 武嗣郎 |
|
同 |
植原 悦二郎 |
|
宮城 |
庄司 一郎 |
|
同 |
宮沢 清作 |
|
同 |
大石 倫治 |
|
福島 |
菅野 善右衛門 |
|
同 |
八田 宗吉 |
|
同 |
助川 啓四郎 |
|
同 |
星 一 |
|
岩手 |
田子 一民 |
|
同 |
八角 三郎 |
|
同 |
泉 国三郎 |
|
同 |
松川 昌蔵 |
|
同 |
志賀 和多利 |
|
青森 |
小笠原 八十美 |
|
同 |
工藤 十三雄 |
|
山形 |
高橋 熊次郎 |
|
同 |
西方 利馬 |
|
同 |
松岡 俊三 |
|
同 |
熊谷 直太 |
|
秋田 |
中田 儀直 |
|
同 |
小山田 義孝 |
|
福井 |
猪野 毛利栄 |
|
同 |
池田 七郎兵衛 |
|
石川 |
箸本 太吉 |
|
同 |
青山 憲三 |
|
富山 |
高見 之通 |
|
同 |
土倉 宗明 |
|
鳥取 |
稲田 直道 |
|
島根 |
高橋 円三郎 |
|
同 |
島田 俊雄 |
|
同 |
沖島 鎌三 |
|
岡山 |
久山 知之 |
|
同 |
岡田 忠彦 |
|
同 |
行吉 角治 |
|
同 |
犬養 健 |
|
同 |
星島 二郎 |
|
同 |
小谷 節夫 |
|
広島 |
名川 侃市 |
|
同 |
肥田 琢司 |
|
同 |
宮沢 裕 |
|
同 |
森田 福市 |
|
山口 |
西川 貞一 |
|
同 |
庄 晋太郎 |
|
同 |
西村 茂生 |
|
同 |
国光 五郎 |
|
同 |
中野 治介 |
|
和歌山 |
松山 常次郎 |
|
同 |
木本 主一郎 |
|
同 |
世耕 弘一 |
|
徳島 |
生田 和平 |
|
同 |
紅露 昭 |
|
香川 |
宮脇 長吉 |
|
同 |
三土 忠造 |
|
同 |
松浦 伊平 |
|
愛媛 |
大本 貞太郎 |
|
同 |
河上 哲太 |
|
同 |
砂田 重政 |
|
同 |
高畠 亀太郎 |
|
高知 |
依光 好秋 |
|
同 |
林 譲治 |
|
福岡 |
原口 初太郎 |
|
同 |
田尻 生五 |
|
同 |
石井 徳久次 |
|
同 |
野田 俊作 |
|
同 |
鶴 惣市 |
|
同 |
増永 元也 |
|
大分 |
金光 庸夫 |
|
同 |
小野 廉 |
|
同 |
綾部 健太郎 |
|
同 |
清瀬 規矩雄 |
|
佐賀 |
田中 亮一 |
|
同 |
藤生 安太郎 |
|
同 |
一ノ瀬 俊民 |
|
熊本 |
松野 鶴平 |
|
同 |
木村 正義 |
|
同 |
三善 信房 |
|
同 |
坂田 道男 |
|
同 |
小見山 七十五郎 |
|
宮崎 |
伊東 岩男 |
|
鹿児島 |
井上 知治 |
|
同 |
東郷 実 |
|
同 |
寺田 市正 |
|
同 |
岩元 栄太郎 |
|
同 |
永田 良吉 |
|
沖縄 |
崎山 嗣朝 |
|
同 |
盛島 明長 |
|
北海道 |
板谷 順助 |
|
同 |
東 武 |
|
同 |
田代 正治 |
|
同 |
南条 徳男 |
|
同 |
木下 成太郎 |
|
同 |
東条 貞 |
|
|
|
第一議員倶楽部 |
|
|
[国民同盟] |
兵庫 |
清瀬 一郎 |
|
新潟 |
高岡 大輔 |
|
同 |
大竹 貫一 |
|
埼玉 |
野中 徹也 |
|
愛知 |
鈴木 正吾 |
|
山形 |
佐藤 啓 |
|
熊本 |
安達 謙蔵 |
|
同 |
石坂 繁 |
|
同 |
伊豆 富人 |
|
同 |
蔵原 敏捷 |
|
沖縄 |
伊礼 肇 |
[旧昭和会] |
大阪 |
井阪 豊光 |
|
長崎 |
森 肇 |
|
群馬 |
青木 精一 |
|
茨城 |
内田 信也 |
|
同 |
飯村 五郎 |
|
静岡 |
春名 成章 |
|
宮城 |
守屋 栄夫 |
|
福島 |
中野 寅吉 |
|
福井 |
熊谷 五右衛門 |
|
鳥取 |
豊田 収 |
|
広島 |
岸田 正記 |
|
同 |
望月 圭介 |
|
広島 |
永山 忠則 |
|
山口 |
窪井 義道 |
|
福岡 |
山崎 達之輔 |
|
宮崎 |
陳 軍吉 |
|
鹿児島 |
蔵園 三四郎 |
|
同 |
金井 正夫 |
|
北海道 |
林 路一 |
[日本革新党] |
奈良 |
江藤 源九郎 |
|
愛知 |
山崎 常吉 |
|
福岡 |
小池 四郎 |
|
北海道 |
赤松 克麿 |
[無所属] |
東京 |
朴 春琴 |
|
埼玉 |
坂本 宗太郎 |
|
茨城 |
赤城 宗徳 |
|
同 |
安藤 孝三 |
|
山梨 |
平野 力三 |
|
同 |
笠井 重治 |
|
石川 |
長谷 長次 |
|
岡山 |
玉野 知義 |
|
山口 |
安倍 寛 |
|
徳島 |
秋田 清 |
|
香川 |
藤本 捨助 |
|
福岡 |
簡牛 凡夫 |
|
宮崎 |
曽木 重貴 |
|
鹿児島 |
津崎 尚武 |
|
同 |
北 勝太郎 |
|
|
|
社会大衆党 |
|
|
|
東京 |
河野 密 |
|
同 |
安部 磯雄 |
|
同 |
浅沼 稲次郎 |
|
同 |
阿部 茂夫 |
|
同 |
麻生 久 |
|
同 |
三輪 寿壮 |
|
同 |
鈴木 文治 |
|
同 |
中村 高一 |
|
京都 |
水谷 長三郎 |
|
大阪 |
田万 清臣 |
|
同 |
井上 良二 |
|
同 |
塚本 重蔵 |
|
同 |
川村 保太郎 |
|
同 |
西尾 末広 |
|
同 |
杉山 元治郎 |
|
神奈川 |
岡崎 憲 |
|
同 |
片山 哲 |
|
兵庫 |
河上 丈太郎 |
|
同 |
永江 一夫 |
|
同 |
米窪 満亮 |
|
同 |
河合 義一 |
|
新潟 |
三宅 正一 |
|
埼玉 |
松永 義雄 |
|
群馬 |
須永 好 |
|
静岡 |
山崎 釼二 |
|
岐阜 |
加藤 鐐造 |
|
長野 |
野溝 勝 |
|
宮城 |
菊地 養之輔 |
|
秋田 |
川俣 清音 |
|
岡山 |
黒田 寿男 |
|
香川 |
前川 正一 |
|
高知 |
佐竹 晴記 |
|
福岡 |
松本 治一郎 |
|
同 |
亀井 貫一郎 |
|
同 |
田原 春次 |
|
鹿児島 |
富吉 栄二 |
第二控室 |
|
|
|
東京 |
道家 斉一郎 |
|
同 |
田川 大吉郎 |
|
同 |
加藤 勘十 |
|
大阪 |
池崎 忠孝 |
|
三重 |
尾崎 行雄 |
|
愛知 |
椎尾 弁匡 |
|
山梨 |
今井 新造 |
|
長野 |
小山 亮 |
|
同 |
中原 謹司 |
|
同 |
田中 耕 |
|
和歌山 |
田渕 豊吉 |
|
徳島 |
三木 武夫 |
|
鹿児島 |
松方 幸次郎 |
東方会 |
|
|
|
長崎 |
馬場 元治 |
|
愛知 |
杉浦 武雄 |
|
滋賀 |
田中 養達 |
|
岐阜 |
三田村 武夫 |
|
青森 |
小野 謙一 |
|
山形 |
木村 武雄 |
|
山口 |
青木 作雄 |
|
高知 |
大石 大 |
|
福岡 |
中野 正剛 |
|
宮崎 |
三浦 虎雄 |
|
北海道 |
渡辺 泰邦 |
無所属 |
|
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茨城 |
風見 章 |
|
愛知 |
滝 正雄 |
なお、この議会では、議長・副議長の党籍離脱の慣行が復活され、小山議長・金光副議長が、民政・政友両党より脱し、無所属となった。従って会期終了時には、民政179名、政友174名、無所属4名となっている。
衆議院の状況
この議会では各党派とも、挙国一致をかかげ、政府支援の立場に立ったため、全く波瀾は起こらなかった。 まず開院式において、今次事変は「是レ一ニ中華民国 ノ反省ヲ促シ速二東亜ノ平和ヲ確立セムトスルニ外ナラス」との勅語が下されたことは、戦争政策への根本的批判を封ずる意味を持っていたし、また衆議院では、 この勅語をうけて聖旨奉体東亜安定二関スル決議案を会期最終日に全会一致で可決し、日中戦争に対する全面支持の態度を明らかにした。
衆議院本会議は、前議会同様、陸海軍二対スル感謝決議案を可決してから議事に入っているが、国務大臣演説に対する質問演説を行わずに、直ちに臨時資金調整法案など9件の第一読会に入り、法案への質疑のなかで施政方針への質疑をもあわせて行うとの異例の方 式がとられた。質問者は各派交渉会に於いて、各派よ り1名とされ、桜内幸雄(民政)、大口喜六(政友)、秋田清(第一議員倶楽部)、片山哲(社会大衆党)、中野正剛(東方会)の5名が演説しているが、具体的問題と しては、戦争遂行のための内閣の強化が唱えられたほ かは、主として経済問題が中心とされ、公債消化、悪性インフレーション、貿易の逆調、国民生活の安定などがとりあげられた。これに対する答弁のなかでは、 賀屋蔵相が、臨時軍事費のための公債は、全額日銀に引きうけさせ、民間に対しては当面資金の散布、金融の緩和を第一義とし、その後おもむろに公債の消化をはかってゆくという方針を示したのが注目された。
この議会での議員の演説はこれだけであり、あとは、法案に関する委員長報告を質疑なく承認してゆくという過程がつづいており、政府提出案件は若干の付帯決議をつけられただけで、すべて原案通り成立している。 この議会は、戦争気分を盛り上げ、戦時体制へ移行す る画期をなすものであったといえよう。
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